💰お金の動くスピード「貨幣の流通速度」ってなに?

経済:基礎知識

「景気がいい」「お金の回りがいい」——そんな言葉、ニュースなどで聞いたことはありませんか?
実はこの「お金の回りやすさ」、経済の世界では 「貨幣の流通速度」 という指標で表すことができます。

今日は、金融初心者の方にもわかるように、
「貨幣の流通速度とは何か?」「どうやって調べるのか?」をやさしく解説します!


🏃‍♂️貨幣の流通速度とは?

一言でいえば——

お金がどれくらいの速さで経済の中を回っているか を示すものです。

たとえばあなたがランチ代に1万円札を使うとします。
そのお店の店主はその1万円で仕入れをし、仕入れ先はそのお金で給料を払い、給料をもらった人がまた買い物をする——。

こうして、1枚のお金が何度も人の手を渡りながら使われていく
この「お金の回転の速さ」こそが貨幣の流通速度です。


📈数式で見るとこうなる!

少しだけ経済の数式を使うと、貨幣の流通速度(V)は次のように表されます。

V = 名目GDP ÷ マネーストック(M)

  • 名目GDP:その年の国内で行われた取引の金額合計(経済活動の大きさ)
  • マネーストック(M2など):世の中に出回っているお金の量

つまり、
「世の中のお金(M)」が「どれくらいの取引(金額)に使われたか」を見る指標なんです。

名目GDPの詳しい解説はこちら↓↓↓

マネーストックの詳しい解説はこちら↓↓↓


🍜身近な例で考えてみよう!

  • A国では、世の中にお金が1兆円流通していて、名目GDPが5兆円でした。
    → 5兆 ÷ 1兆 = 5
    → お金が 5回転 したということです。
     
  • 一方、B国では同じ1兆円でGDPが2兆円しかありません。
    → 2兆 ÷ 1兆 = 2
    → お金が 2回転 しかしていません。
     

つまり、A国のほうが経済の中でお金が活発に動いている(景気がいい)ということになります。


📉流通速度が下がるとどうなる?

お金の回りが悪くなると、次のようなことが起こります。

  • 消費が減る
  • 企業の売上が落ちる
  • 給料が上がらない
  • 経済が停滞する

つまり、たとえ日銀などが「市場にお金を増やしても」、人々が使わなければ経済は動かないんです。
これが「お金はあるのに景気が悪い」という現象の理由です。


💡逆に流通速度が上がると?

  • 消費が活発になる
  • 企業の投資が増える
  • 景気が良くなる

ただし、お金が動きすぎると インフレ(物価上昇) が起きるリスクもあります。
経済にとって理想なのは、「ほどよいスピード」でお金が循環している状態です。


🧮貨幣の流通速度を自分で調べるには?

実はこの「流通速度」、ちょっとした計算で誰でも求められます。

▶ ステップ①:名目GDPを調べる

出典:内閣府「国民経済計算」
📍URL:https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
四半期別や年度別の「名目GDP」を確認できます。
👉「実質GDP」ではなく、“名目GDP”を使うのがポイント!


▶ ステップ②:マネーストック(M2)を調べる

出典:日本銀行「マネーストック統計」
📍URL:https://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/
マネーストックにはM1・M2・M3など種類がありますが、
一般的には M2(現金+預金など) が使われます。


▶ ステップ③:計算してみよう!

例えば、ある年のデータが以下だったとします👇

  • 名目GDP:600兆円
  • M2:1,200兆円

計算式:

600 ÷ 1,200 = 0.5

つまり、お金が1年間で平均0.5回しか使われていない(回転していない)ことになります。


🇯🇵日本の現状はどう?

実際の日本では——
バブル崩壊以降、貨幣の流通速度は📉長期的に低下しています。

  • 1990年代:およそ「1.0」前後
  • 2020年代:およそ「0.5」前後

つまり、お金が貯蓄に回りやすく、使われにくい経済になっているということ。
これが「デフレ体質」と呼ばれる理由のひとつです。


🇺🇸参考:アメリカのデータも見てみよう

アメリカでは、連邦準備制度(FRB)が「FRED」というサイトで公開しています。

📍URL:https://fred.stlouisfed.org/series/M2V

グラフを見ると、コロナ禍で急低下した後、インフレとともにやや回復していることがわかります。
こうした「お金の動き」は、物価や景気の変化を読み解くカギにもなります。


🧭まとめ:お金の“元気さ”を測るのが流通速度!

状況貨幣の流通速度経済の状態
お金がよく使われている高い景気が良い
お金があまり動かない低い景気が停滞

「流通速度」は、お金の量ではなく“お金の動きの勢い”を示す指標です。
つまり——

経済の健康診断で言えば、“血の巡り”を測るようなもの。

ニュースで「日銀が金融緩和」などを聞いたときは、
「お金がどれくらい動いているか?」という観点からも見ると、
景気の見通しがぐっと理解しやすくなりますよ。

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