投資をしていると、こんな経験はありませんか?
- 自分の判断は間違っていないはずなのに負ける
- 勝率は高いのに、トータルでは資金が減っている
- 「正解」を選んでいるつもりなのに結果が出ない
こうした違和感を説明してくれるのが、
利得(ペイオフ)と期待値という考え方です。
これは、
投資を「感覚」から「構造」で理解するための、
非常に重要な概念です。

利得(ペイオフ)とは何か
利得=結果として得られるものすべて
ゲーム理論でいう「利得(ペイオフ)」とは、
単なる利益や損失の金額だけを指しません。
投資における利得には、次のようなものが含まれます。
- 実際の利益・損失
- 勝ったときの安心感
- 負けたときのストレス
- 早く利確した満足感
- 損切りを先延ばしした安心
つまり人は、
お金だけを最大化しようとして行動しているわけではない
という前提に立ちます。
なぜ非合理な行動が合理的に見えるのか
例えば、
- 含み損を抱えているのに売れない
- 利益が少し出るとすぐ確定してしまう
これらは一見、非合理な行動に見えます。
しかし、
- 「今の痛みを避けたい」
- 「後悔したくない」
という利得を考えると、
本人にとっては合理的な選択とも言えます。
ゲーム理論では、
こうした人間の心理も含めて「利得」と考えます。
期待値とは何か
期待値=長期的に見た平均結果
期待値とは、
同じ行動を何度も繰り返したときに、平均してどれくらいの結果になるか
を表す考え方です。
とてもシンプルに言えば、
- たまたま勝つか負けるか
- 一回ごとの結果
ではなく、
続けたらどうなるか
を見る視点です。
投資における期待値の簡単な例
次の2つのトレードを考えてみましょう。
パターンA
- 勝率:70%
- 勝ち:+1
- 負け:-5
パターンB
- 勝率:40%
- 勝ち:+5
- 負け:-1
直感的には、
勝率70%のAが良さそうに見えます。
しかし、期待値で考えるとどうでしょうか。
- A:0.7 × 1 + 0.3 × (-5) = -0.8
- B:0.4 × 5 + 0.6 × (-1) = +1.4
勝率が低いBのほうが、長期では有利です。
なぜ初心者は期待値を無視してしまうのか
多くの初心者は、
次のような判断軸を持ちがちです。
- 勝ちたい
- 当てたい
- 負けたくない
これは自然な感情ですが、
期待値とは真逆の方向を向いています。
- 小さく勝って安心する
- 大きな負けを先延ばしする
この行動は、
精神的な利得は大きいですが、
金銭的な期待値は悪化しやすいのです。
投資は「期待値の高い不快な行動」を続けるゲーム
ここが、投資の一番つらいところです。
- 正しい行動は、たいてい気持ちが悪い
- 間違った行動は、短期的に気持ちがいい
期待値の高い行動ほど、
- 負ける回数が多い
- 自信が揺らぐ
- 周囲と逆の行動になる
という特徴があります。
ゲーム理論は、
この現実を「異常」ではなく
構造として説明してくれます。
利得と期待値をセットで考える意味
ここまでの内容を整理すると、
- 人はお金以外の利得でも動く
- 短期の満足と長期の結果は一致しない
- 正しい判断でも負けることがある
ということが見えてきます。
だからこそ、
一回一回の勝ち負けに振り回されない視点
が必要になります。
初心者がまず意識すべきこと
いきなり期待値を数式で考える必要はありません。
まずは、次の問いを持つだけで十分です。
- この行動を100回続けたらどうなるか
- 今の安心は、将来の不安と引き換えではないか
- 自分は金銭的利得と心理的利得、どちらを優先しているか
これを考えられるようになるだけで、
トレードの質は大きく変わります。
まとめ|期待値を理解すると負け方が変わる
期待値を理解しても、
すぐに勝てるようになるわけではありません。
ですが、
- 負けに意味を見出せる
- 感情的に崩れにくくなる
- 同じミスを繰り返しにくくなる
という大きな変化が起きます。
次回は、
合理的に考えると、なぜ全員が損をするのか
という有名なテーマ、
「囚人のジレンマ」を
投資家心理と結びつけて解説していきます。

その他
ゲーム理論の解説まとめ
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