今回は、未来のエネルギーとして注目されている「核融合発電」について、投資初心者向けに分かりやすく解説します。

そもそも核融合発電とは?
核融合発電とは、太陽が輝いているのと同じ原理を利用してエネルギーを生み出す技術です。太陽の中心部では、非常に高い温度と圧力のもとで水素などの軽い原子の原子核が融合し、より重い原子核に変わる際に莫大なエネルギーが放出されています。この現象を地球上で人工的に再現し、発電に利用しようというのが核融合発電です。
核融合発電と原子力発電は、どちらも「核」を利用する発電ですが、その仕組みは全く異なります。
原子力発電が原子を「分裂」させてエネルギーを取り出すのに対し、
核融合発電は原子を「融合」させてエネルギーを生成します。
原子力発電との違い
項目 | 核融合発電(フュージョン) | 原子力発電(フィッション) |
原理 | 軽い原子核(重水素など)を融合させることでエネルギーを放出。太陽の活動原理と同じ。 | 重い原子核(ウラン235など)を中性子で分裂させることでエネルギーを放出。 |
連鎖反応 | 連鎖反応が起こらず、何らかの異常があれば反応が即座に停止する本質的な安全性がある。 | 連鎖反応を利用するため、制御を失うと暴走するリスクがある。 |
燃料 | 重水素・三重水素が主な燃料。海水から無尽蔵に採取できる。 | ウラン。埋蔵量に限りがあり、特定の国に偏在している。 |
廃棄物 | 放射性廃棄物の量が非常に少なく、半減期も短い。 | 高レベル放射性廃棄物が発生し、長期的な厳重管理が必要。 |
排出物 | 二酸化炭素や窒素酸化物などの温室効果ガスは排出しない。 | 同上。 |
原料について
核融合発電の主な燃料は、水素の同位体である重水素(デューテリウム)と三重水素(トリチウム)です。
- 重水素
海水1リットルあたり約33ミリグラム含まれており、ほぼ無限に存在します。
- 三重水素
自然界にはほとんど存在しませんが、核融合炉内でリチウムに中性子を当てることで生成できます。リチウムも海水中に豊富に存在します。
コストと環境への影響
商業運転段階に入れば、燃料コストはほぼゼロになるという大きなメリットがあります。初期の建設費用は高額ですが、燃料費がかからないため、長期的に見れば経済性が高いと考えられています。
また、核融合発電は、自然環境に有害な物質をほとんど排出しません。
- 二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策に貢献します。
- 高レベル放射性廃棄物が発生しないため、環境への負荷が大幅に軽減されます。
- 万が一の事故でも、原理的にメルトダウンや暴走は起こらず、環境汚染のリスクが極めて低いとされています。
安全性:原理的に暴走しない
原子力発電(核分裂)は、ウランの核分裂反応が連鎖反応として続くことでエネルギーを生み出します。そのため、この連鎖反応を常に制御し続ける必要があります。もし制御に失敗すると、反応が暴走して炉心溶融(メルトダウン)のリスクが生じます。
一方、核融合発電は連鎖反応ではありません。核融合反応を起こすには、燃料を1億度以上の超高温のプラズマ状態に保ち、強力な磁場で閉じ込める必要があります。この非常に厳しい条件が少しでも崩れると、核融合反応は即座に停止します。
まるで、火を燃やすために特定の温度と酸素の供給が必要なように、核融合反応には厳しい条件が必須なのです。そのため、何らかの異常が発生してシステムが停止すると、反応も自然に収束し、暴走する危険がありません。
なぜ今、核融合発電が熱いテーマなのか?
核融合発電が注目されている主な理由は、その持続可能性と安全性にあります。
- 持続可能性
燃料となる重水素や三重水素は、海からほぼ無尽蔵に調達できます。
- 安全性
原理的に暴走事故が起こりにくく、万が一の場合でも反応が停止するように設計されています。また、使用済み核燃料の処理も、現在の原子力発電(核分裂)と比べて負担が少ないとされています。
これらの特性から、地球温暖化やエネルギー問題といった、深刻な社会課題を解決する究極のクリーンエネルギーとして期待されています。
解決できる社会課題
核融合発電が普及すれば、以下の社会課題の解決に大きく貢献する可能性があります。
- 地球温暖化
発電時に二酸化炭素を排出しないため、温室効果ガスの削減に貢献します。
- エネルギー問題
特定の資源に依存することなく、安定したエネルギー供給が可能になります。
- 環境負荷の低減
放射性廃棄物の量が少なく、処理も比較的容易なため、環境への影響を最小限に抑えられます。
テーマのおん駅
核融合発電のテーマは、主に以下の関係者に利益をもたらすと考えられます。
- 研究開発企業
核融合炉の技術開発や建設に携わる企業は、技術革新のリーダーとして大きな成長が見込めます。
- 関連素材・部品メーカー
超電導コイルや特殊な合金など、核融合炉の建設に必要な素材や部品を提供する企業も需要が高まります。
- 投資家
この分野の成長を見込んで投資する個人や機関投資家は、企業の株価上昇によるキャピタルゲインを得られる可能性があります。
市場規模と今後の見込み
核融合発電は、2025年時点ではまだ商用化されていないため、商用電力としての市場規模は実質ゼロです。ただし、研究開発や関連技術への投資はすでに世界的に数十億ドル規模に達しており、将来のエネルギー市場において大きな期待を集めています。
将来の市場については複数の調査機関が予測を発表しており、例えば Allied Market Research や Precedence Research は、2040年に世界の核融合エネルギー市場が 約8,000億ドル(1ドル=150円換算で約120兆円) に達すると見込んでいます。これは、商用炉が2040年前後に稼働を開始するシナリオを前提にしたものです。
CAGR(年平均成長率)についても試算があり、一般的には 6〜7%程度 とされています。ただし、一部のレポートでは核融合関連の先端材料市場を含めると 30%以上の高成長 を見込むものもあり、今後の技術開発スピードや政策支援によって大きく変動する可能性があります。
総じて、核融合発電は現在は「収益ゼロの市場」ですが、2040年代には100兆円規模に成長し得る潜在力を持つ分野と評価されています。
関連株を考える際のポイント
最新の銘柄一覧は株探にあります。
核融合発電のテーマ株に投資を考える際は、以下のポイントを押さえるのが重要です。
- 直接的な開発企業
核融合炉そのものの開発を手掛けるスタートアップや企業を探します。ただし、これらは未上場企業が多いかもしれません。
- 間接的な関連企業
超電導技術、真空技術、耐熱素材、プラズマ制御技術など、核融合炉の実現に不可欠な技術を持つ上場企業を探すのが現実的です。
- 投資リスクの理解
核融合発電はまだ実用化されていないため、技術的な課題や投資リスクが高いことを十分に理解しておく必要があります。
まとめ
核融合発電は、私たちの未来を根本から変える可能性を秘めた、壮大なテーマです。投資対象としてはまだリスクが高いものの、その将来性から多くの関心を集めています。
このブログが、皆さんの投資の一助となれば嬉しいです。未来のエネルギーについて、ぜひ一緒に学んでいきましょう!
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