- GDPは一言で言うと、その国の一年間の稼ぎです。
- GDP成長は企業業績への期待を高め、株価上昇につながる傾向があります。
- 株価は複雑なため、期待感、金利、インフレ、世界経済など、GDP以外の要因も株価を大きく左右します。
- GDPは株価を予測する上で重要な指標の一つですが、全てではありません。

GDPとは?
GDPは、Gross Domestic Productの略で、日本語では「国内総生産」と訳されます。これは、一定期間内(通常は1年間または四半期)に、国内で生産された財・サービスの付加価値の合計を表すものです。簡単に言うと、その国がどれくらいの経済規模を持っているかを示す、最も重要な指標の一つです。

アメリカのGDPの特徴
- 世界最大の経済規模:
アメリカは、長年世界最大のGDPを誇る経済大国です。2023年の名目GDPは約27兆ドルに達し、世界経済の約4分の1を占めています (外務省ー主要経済指標)。 - 多様な産業構造:
アメリカ経済は、サービス業、製造業、金融業、IT産業など、非常に多様な産業で構成されています。特に、ITや金融などの分野では、世界をリードする企業が多数存在します。 - 消費主導型経済:
アメリカ経済は、個人消費がGDPの約7割を占める消費主導型です。そのため、個人消費の動向が経済全体の成長に大きく影響します。 - 高い生産性:
アメリカは、高い技術力と効率的なシステムにより、労働生産性が高い国として知られています。
外務省ー主要経済指標より引用
GDPの計算方法
付加価値の合計といってもよくわからないので、例でみてみましょう。
例:パン屋さん、小麦粉屋さん、牛乳屋さんが同じ町の場合のGDP
ある町に、パン屋さん「ニコニコパン」、小麦粉屋さん「麦畑小麦」、牛乳屋さん「牧場ミルク」があります。この町全体のパン作りの経済活動でGDPを考えてみましょう。
1. 小麦農家さん
- 町の畑で小麦を育てています。
- 小麦を育てるのに費用はかかりませんでした。(種も水も太陽も、町にあるものを使ったとします。)
- 育てた小麦を、小麦粉屋さんに100万円で売りました。
- 小麦農家さんの付加価値:100万円 (売上100万円 – 費用0円 = 100万円)
2. 小麦粉屋さん
- 小麦農家さんから買った小麦を100万円で仕入れました。
- 仕入れた小麦を小麦粉にするために、20万円の電気代を使いました。(町の電力会社に支払いました。)
- 作った小麦粉を、パン屋さんに150万円で売りました。
- 小麦粉屋さんの付加価値:30万円 (売上150万円 – 小麦仕入れ100万円 – 電気代20万円 = 30万円)
3. 牛乳屋さん
- 町で育てている牛から牛乳を搾っています。
- 牛乳を搾るのに費用はかかりませんでした。(牛も牧草も町にあるものを使ったとします。)
- 搾った牛乳を、パン屋さんに30万円で売りました。
- 牛乳屋さんの付加価値:30万円 (売上30万円 – 費用0円 = 30万円)
4. パン屋さん
- 小麦粉屋さんから小麦粉を150万円で買いました。
- 牛乳屋さんから牛乳を30万円で買いました。
- その他の材料(砂糖や卵など)を20万円で町のお店から買いました。
- これらの材料を使ってパンを焼き、1年間で250万円分のパンを町の人に売りました。
- パン屋さんの付加価値:50万円 (売上250万円 – 小麦粉仕入れ150万円 – 牛乳仕入れ30万円 – その他材料20万円 = 50万円)
5. 町全体のGDP
この町全体のGDPは、それぞれの場所で生まれた付加価値を合計します。
- 小麦農家さんの付加価値:100万円
- 小麦粉屋さんの付加価値:30万円
- 牛乳屋さんの付加価値:30万円
- パン屋さんの付加価値:50万円
町全体のGDP = 100万円 + 30万円 + 30万円 + 50万円 = 210万円
説明
- 今回は、小麦農家さん、小麦粉屋さん、牛乳屋さん、パン屋さんがすべて同じ町にあると考えました。
- それぞれの場所で、新しい価値(付加価値)が生まれています。
- 町全体のGDPは、これらのすべての付加価値を合計したものになります。
- 材料のやり取りは町の中で行われていますが、それぞれの段階で価値がプラスされているので、すべて含めて計算します。
ポイント
- 同じ町でも、それぞれの場所で新しく価値が生まれていれば、GDPにプラスされる!
- 材料の取引は町の中で完結しているが、各段階の付加価値を合計することで、町全体の経済規模がわかる!

GDPが重要な理由
GDPは、国の経済状況を総合的に把握するために非常に重要な指標です。
- 経済成長の尺度:
GDPの成長率は、経済がどれくらいのペースで成長しているかを示す指標となります。高いGDP成長率は、一般的に経済が活発であることを意味します。 - 生活水準の目安:
一人当たりGDPは、国民一人当たりの平均的な所得水準を示す目安として用いられます。ただし、GDPはあくまで平均値であり、所得格差などは反映されない点に注意が必要です。 - 国際比較:
各国のGDPを比較することで、経済規模や経済力を国際的に比較することができます。 - 政策判断の基礎:
政府や中央銀行は、GDPなどの経済指標を参考に、経済政策や金融政策を決定します。
アメリカのGDPに関する最新情報
アメリカのGDPは、米商務省経済分析局から四半期ごとに速報値、改定値、確報値の3回に分けて発表されます。速報値は、四半期終了後の翌月末に発表されます。
たとえば、1~3月期のGDPであれば4月末に速報値が発表されます。
- アメリカ経済に関する最新のニュース: 日本貿易振興機構(ジェトロ) – ジェトロの海外ニュース
- GDP速報値、改定値、確報値: マネックス証券 – 速報値、改定値、確報値

まとめ
GDPは、アメリカ経済の規模や成長を測る上で最も重要な指標の一つです。アメリカ経済は世界最大であり、多様な産業構造と高い生産性を誇っています。GDPの動向を把握することは、アメリカ経済だけでなく、世界経済の動向を理解する上でも非常に重要です。

株価への影響
GDP成長と株価の基本的な関係
一般的に、GDP(国内総生産)の成長は、企業の業績向上につながると考えられるため、株価にプラスの影響を与える傾向があります。
- GDP成長 → 企業業績向上への期待:
GDPが成長するということは、経済全体が拡大し、人々の所得が増え、消費活動が活発になることを意味します。これは、企業の売上増加、利益増加につながる可能性が高まります。投資家は、企業業績の向上を期待して株式を購入するため、株価が上昇しやすくなります。 - 景気拡大のサイン:
GDP成長は、景気が良い状態であることを示す重要な指標です。景気拡大期には、企業は積極的に設備投資や雇用を増やし、経済活動が活発化します。このような状況は、株式市場全体の活況につながり、株価上昇の追い風となります。

ただし、注意すべき点
GDPと株価の関係は、常に単純な比例関係にあるわけではありません。以下の点に注意が必要です。
- 期待先行:
株価は、将来の企業業績や経済成長への「期待」によって大きく左右されます。GDPの発表前に、市場はすでに成長を織り込んでいる場合があり、実際にGDPが発表された際に、期待外れであれば株価が下落することもあります。逆に、予想を上回るGDP成長であれば、株価はさらに上昇する可能性があります。 - 金利・インフレの影響:
GDP成長が加速すると、インフレ(物価上昇)懸念が高まり、中央銀行が金利を引き上げる可能性があります。金利上昇は、企業の借入コストを増加させ、企業業績を圧迫する要因となるため、株価にはマイナスに働くことがあります。また、金利が上がると、債券などの他の投資対象の魅力が増し、株式市場から資金が流出する可能性もあります。 - 業種・セクターによる違い:
GDP成長が、すべての業種・セクターの株価を均等に押し上げるわけではありません。例えば、GDP成長が消費主導型であれば、小売業やサービス業の株価は恩恵を受けやすいですが、資源価格の高騰を伴う成長であれば、製造業のコスト増につながり、株価が下落する業種も出てくる可能性があります。 - 世界経済の影響:
グローバル経済においては、アメリカのGDPだけでなく、世界経済全体の動向も株価に影響を与えます。世界的な景気後退や金融不安が発生した場合、アメリカのGDPが堅調であっても、株価が下落する可能性があります。 - GDP以外の要因:
株価は、GDPだけでなく、企業の個別要因(新技術の開発、経営戦略の成功など)、政治情勢、地政学リスクなど、様々な要因によって変動します。GDPはあくまで株価を左右する要因の一つであり、全てではありません。

まとめ
GDP成長は、一般的に株価にプラスの影響を与えると考えられますが、その関係は複雑で、常に一定ではありません。株価を予測する際には、GDPだけでなく、金利、インフレ、企業業績、世界経済の動向など、様々な要因を総合的に考慮する必要があります。

補足
GDPの速報値、改定値、確報値とは
速報値(Preliminary GDP)
- 一番最初に出るGDPの値のことです。
- GDPの対象期間(四半期)が終わってから、約1ヶ月後に発表されます。
- この時点では、まだ限られたデータしか集まっていないため、概算に近い数値です。
- 「1次推計値」や「先行推計値」とも呼ばれることがあります。
- 速報値は、経済の初期的な動きをいち早く知るために重要です。
改定値(Revised GDP)
- 速報値発表後、約1ヶ月後に出るGDPの値です。
- 速報値よりも多くのデータが追加で集められ、より正確に計算し直された数値です。
- 「2次推計値」とも呼ばれます。
- 改定値は、速報値よりも詳細な経済状況を把握するために役立ちます。速報値から修正されることもあります。
確報値(Final GDP)
- 改定値発表後、さらに約1ヶ月後に出るGDPの値です。
- 最も多くのデータが揃い、最も正確だと考えられるGDPの値です。
- 「3次推計値」とも呼ばれます。
- 確報値は、最終的な経済成長率を確認するために用いられ、過去のGDPデータと比較する際などにも基準となります。

なぜ3つの値があるか?
GDPは、国の経済活動全体を数字で表す、とても複雑な統計です。四半期ごとに速やかに発表するために、最初は限られたデータで速報値を出し、その後、時間をかけてより詳細なデータを集めて精度を高めていく、というプロセスを踏んでいます。
イメージで言うと…
- 速報値:健康診断の一次検査結果。ざっくりとした体の状態がわかるイメージ。
- 改定値:二次検査結果。一次検査より詳しい検査をして、体の状態がより詳しくわかるイメージ。
- 確報値:最終診断結果。全ての検査結果が揃い、最も正確な体の状態がわかるイメージ。
株価への影響
一般的に、GDPの数値が市場の予想と比べてどうだったか、そして、速報値、改定値、確報値と発表が進むにつれて数値がどう変化したかが、株価に影響を与えます。
- サプライズ: 速報値が予想を大きく上回る、または下回る場合、株価は大きく動くことがあります。
- 改定: 改定値で速報値から大きく修正があった場合も、株価が反応することがあります。
- 確報値: 確報値は、通常、市場への影響は比較的小さいですが、過去のデータと比較する際などに重要視されます。
まとめ
- 速報値 → 一番早いけど、ざっくりした値
- 改定値 → 速報値より正確になった値
- 確報値 → 一番正確な、最終的な値
経済成長の種類
- 消費主導型成長:
個人消費が経済成長の主なエンジンとなるタイプです。人々の所得が増加し、消費意欲が旺盛な場合に起こりやすく、小売業やサービス業などが活性化します。アメリカ経済はこのタイプに当てはまります。 - 投資主導型成長:
企業や政府による投資が経済成長を牽引するタイプです。設備投資、インフラ投資、研究開発投資などが活発に行われ、将来の生産能力向上を目指します。 - 輸出主導型成長:
輸出の増加が経済成長を牽引するタイプです。海外からの需要を取り込み、国内産業の成長を促進します。かつての日本やアジアの新興国などがこのタイプに当てはまります。 - 生産性向上主導型成長:
技術革新や効率化によって生産性が向上し、経済成長を実現するタイプです。少ない資源でより多くの価値を生み出せるようになり、持続的な成長につながると考えられます。 - 資源主導型成長:
天然資源の輸出や開発によって経済成長を達成するタイプです。資源価格に依存するため、経済が不安定になりやすい側面があります。 - イノベーション主導型成長:
新しい技術や製品、ビジネスモデルなどのイノベーションが経済成長を牽引するタイプです。新たな市場や産業を創出し、高付加価値な成長をもたらす可能性があります。

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