米国株式市場では、投資家の「強気(Bull)」と「弱気(Bear)」の割合を分析することで、
市場が過熱しているのか、それとも悲観が強まっているのかを判断するための指標がいくつか存在します。
その中でも特に有名で、初心者でも無料で確認できるのが Bull/Bear Ratio(強気/弱気比率) です。
本記事では、AAII(米国個人投資家協会)が毎週発表しているデータを基に、
Bull/Bear Ratio の意味と使い方をわかりやすく解説します。

✔ Bull/Bear Ratio(強気/弱気比率)とは?
Bull/Bear Ratio は、
強気(Bull)と回答した投資家の割合 ÷ 弱気(Bear)と回答した投資家の割合
で計算される「投資家心理(センチメント)指標」です。
- 1.0より大きい → 楽観的(強気)
- 1.0より小さい → 悲観的(弱気)
【例】
- Bull 44%、Bear 22%
→ Ratio = 44 ÷ 22 = 2.0(強気が弱気の2倍)
✔ データはどこで見られる? → AAII(無料)
AAII(American Association of Individual Investors)は毎週、
- Bull(強気)
- Neutral(中立)
- Bear(弱気)
の3つの割合を公開しています。
▼ AAII Sentiment Survey
https://www.aaii.com/sentimentsurvey
Bull と Bear の値が100%のうち何%か表示されているため、
誰でも簡単に Bull/Bear Ratio を計算できます。
✔ Bull/Bear Ratio の読み方(初心者でも簡単)
① Ratio が高い(例:1.5以上)
強気投資家が多い → 市場は楽観ムード
- 株価が上昇している時に多い
- 過熱感、利益確定が意識されやすい
- 行き過ぎた楽観は調整のサインとなることも
② Ratio が低い(例:0.7以下)
弱気投資家が多い → 市場は悲観ムード
- 株価下落局面で増えやすい
- 恐怖(Fear)が強まっているサイン
- 売られ過ぎから反発することも多い
③ Ratio が1前後
中立 → 市場の方向感がない状態
- 強気・弱気が拮抗
- トレンド転換のタイミングで見られることも
✔ Bull/Bear Ratio の活用方法
① 市場の「温度感」を把握する
Bull/Bear Ratio は株価を予測するためではなく、
市場が「今どんな気分か?」を把握するための指標です。
- 最近上昇しているけど、投資家の心理はどう?
- ニュースで不安になったけど実際には?
こうした疑問を確認するのに最適です。
② 逆張りの判断材料に使う(※慎重に)
- 強気が多すぎる → 過熱 → 利確検討
- 弱気が多すぎる → 悲観ピーク → 反発余地
ただし、
極端な心理状態が長期間続くこともあるため、
逆張りだけで売買しないことが大切です。
③ 他の指標と組み合わせが効果的
Bull/Bear Ratio はセンチメント指標なので、
単体では精度に限界があります。
下記と組み合わせると強力になります:
- Fear & Greed Index(恐怖・強欲指数)
- VIX指数(Volatility Index)
- プット・コール・レシオ
- 主要株価指数(S&P500・NASDAQ)
複数の角度で見ることで急落・反発局面の判断精度が上がります。
✔ AAII の値から Ratio を計算する方法(簡単)
AAII のページには以下のようなデータが表示されます:
| Sentiment | Percentage |
|---|---|
| Bull | 38% |
| Neutral | 32% |
| Bear | 30% |
計算式は:
Bull/Bear Ratio = Bull% ÷ Bear%
例)38 ÷ 30 = 1.26
これだけです。
✔ 注意点(投資初心者向けに重要)
❌ Ratioだけで売買しない
センチメントは雰囲気を測る指標で、
将来の株価を予測するものではありません。
❌ 「行き過ぎた強気」や「過度な弱気」が長く続くこともある
特に米国株は楽観ムードが長期化しがちです。
❌ AAIIは「個人投資家」の心理
機関投資家の動向とは違うことがあります。
✔ まとめ
Bull/Bear Ratio は、
投資家心理をつかむためのシンプルで強力なセンチメント指標です。
- 1を超えれば楽観、1未満なら悲観
- 無料で見られるのは AAII
- Bull と Bear の割合から簡単に計算できる
- 単独で判断せず、複数指標と組み合わせることが大切
米国株投資を行ううえで、
「市場が今どう感じているか」を理解するための定点観測として役立ちます。
その他
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