米国株の「相場の勢い」をつかむ重要指標をやさしく解説
米国株投資を始めるとよく聞く 「新高値(New Highs)」「新安値(New Lows)」。
これらをまとめて市場の勢いを数値化したのが 新高値/新安値比率(New Highs / New Lows Ratio) です。
結論:新高値銘柄が多い → 市場は強い。
新安値銘柄が多い → 市場は弱い。
つまり、この比率を見るだけで「今の市場が元気なのか、疲れているのか」がパッと分かる便利な指標です。

📝 この記事でわかること
- 新高値/新安値比率とは何か
- どうやって読み取る?どこを注意すべき?
- 初心者でも実際の投資にどう使える?
- 無料で確認できるサイト紹介(MarketInOut)
1. 新高値 / 新安値ってそもそも何?
● 新高値(New High)
→ 過去52週間(1年)で 最も高い株価を更新した銘柄数
● 新安値(New Low)
→ 過去52週間(1年)で 最も低い株価を更新した銘柄数
米国市場(NYSE / NASDAQ)は数千銘柄があります。
その中で「どれだけの銘柄が高値を更新しているのか」を見ることで、市場全体の健康状態を把握できます。
2. 新高値/新安値比率(NH/NL Ratio)の計算方法
計算式はシンプルです。
新高値銘柄数 ÷ 新安値銘柄数
たとえば…
- 新高値:300銘柄
- 新安値:50銘柄
Ratio = 300 ÷ 50 = 6.0
→ 新高値が圧倒的に多い → 市場は強気
逆に…
- 新高値:20
- 新安値:200
Ratio = 0.1
→ 市場は弱気
3. なぜこの指標を見る必要があるの?初心者が気にすべき理由
❗ポイント1:インデックスだけでは「市場の本当の強さ」が分からない
S&P500やNASDAQ100は時価総額の大きい銘柄が指数を左右します。
そのため、
- 大企業だけが上がっていて、他の銘柄は弱っている
- 指数は上がっているのに市場内部はボロボロ
という状態もよくあります。
👉 新高値/新安値比率は“市場の中身”をチェックする指標です。
❗ポイント2:相場の転換点を早めに察知できる
市場が調子を崩すときは、
まず「新安値」の銘柄が増え始めることが多いです。
指数がまだ上昇していても
内部で崩れが始まっている時期を捉えられる のが大きなメリット。
❗ポイント3:投資初心者でも理解しやすい「強弱の判断軸」
比率が高いか低いかを見るだけで良いので、初心者向き。
その日の市場の雰囲気をひと目で掴めるため、
個別株のエントリー可否や相場の地合いチェックに最適です。
4. どう読み取ればいいの?判断の参考ライン
以下は一般的な目安です(厳密なルールではありません)。
| 比率 | 市場の解釈 |
|---|---|
| 2.0以上 | かなり強い市場ムード |
| 1.0以上 | 新高値が新安値より多い → 強気 |
| 1.0未満 | 新安値が新高値を上回る → 弱気 |
| 0.5以下 | 市場がかなり弱い可能性 |
| 0.2以下 | 相場の転換や調整に要注意 |
👉 重要ポイント
比率が“極端”な方向に振れたときは、市場の流れが反転する前兆になることもあります。
5. 投資でどう使う?初心者向け3つの活用法
① 「今日の地合いチェック」として毎朝確認
市場が弱い日は無理に買わない、強い日は順張りしやすい…
といった判断に使えます。
② 個別株のエントリー可否判断
市場全体が弱い日は、どんな良い銘柄でも上げづらい。
逆に市場が強ければ、個別株も追い風になります。
③ 相場の天井・底を探るヒントに
比率が極端に高い or 低いときは、過熱感や売られすぎのサイン。
反転局面の参考材料になります。
6. どこで無料で確認できる?
直接見れそうなサイトはなさそうなので手動計算になります。
以下のサイトで、米国市場の新高値/新安値データが見られます。
● Barchart Highs & Lows
米国全市場で
- 52週高値の数
- 52週安値の数 の一覧が見られます。
【サイト例】
→ このページで
✔ New Highs の数

上記HIGHSタブを選んで下にスクロールしたページングのところに数値がある。

✔ New Lows の数

を確認 → あとは比率(Highs ÷ Lows)を計算できます。
● TradingView New High New Low Ratio
比率とは異なりますが、TradingViewには相対評価できるインジケーターがあります。
📌 [KY] New High New Low Ratio
→ New Highs / New Lows を元にしてRSIのように 0〜100 に正規化した“相対強弱指数”。
→ インジケーターでNew High New Low Ratioを検索してチャートに追加できます。

表示の意味(目安)
| 数値帯 | 状態 | 解釈 |
|---|---|---|
| 80以上 | 過熱 | 新高値が極端に多い |
| 50前後 | 中立 | 拮抗 |
| 20以下 | 売られすぎ | 新安値が多い |
7. 注意点(初心者ほど忘れがちなポイント)
- 比率だけで売買判断しない(単独での判断は危険)
- 1日の動きではなく、数日〜数週間のトレンドで見る
- 個別株は市場地合いに左右されるため、地合い確認の補助指標として使う
- 相場急変時(FOMC、雇用統計、決算シーズン)は比率も急変しやすい
まとめ:新高値/新安値比率は「市場の健康診断」
新高値/新安値比率は、
市場が上方向に勢いがあるのか、下方向に弱っているのか
を判断するための、とても役立つ“市場内部の指標”です。
- 指数だけでは分からない「市場の本当の強さ」がわかる
- 初心者でも簡単に判断できる
- 相場の転換点を察知しやすい
その他
投資、経済の基礎知識
投資や経済関連の基礎知識などの記事はこちらにあります。

投資に関する豆知識

コメント