株価指数(S&P500 や NASDAQ)が上がっているのに、なぜか相場が重い…
逆に指数が下落しているのに、妙に強さを感じる…
そんな「相場の空気感」を把握するために役立つのが ARMS指数(アームズ指数/TRIN) です。
この記事では、ARMS指数の仕組み・読み方・初心者が知るべき注意点まで、分かりやすく解説します。

1. ARMS指数(TRIN)とは?
ARMS指数(Arms Index / TRIN)は、上昇銘柄・下落銘柄の「数」と「出来高」を組み合わせて算出し、市場の買い・売り圧力の強さを測る指標 です。

計算式は以下の通り:
ARMS指数(TRIN)の計算式:
(上昇銘柄数 ÷ 下落銘柄数) ÷ (上昇出来高 ÷ 下落出来高)
基準は 1.0。
- 1より小さい → 買い優勢(強気)
- 1より大きい → 売り優勢(弱気)
なぜ「数」と「出来高」を使うの?
銘柄数だけを見ると「上昇銘柄が多いから強い」と判断しがちですが、
出来高が伴っていない上昇は信頼性が低い 場合があります。
ARMS指数は、
- 銘柄数のバランス
- 出来高の重み
両方を加味するので、より「市場全体の本当の圧力」を読みやすくなります。
2. ARMS指数の読み方
● TRIN < 1.0 → 買い優勢(市場が強い)
上昇銘柄の出来高が多く、買いが広く入っている状態。
例:
TRIN = 0.70
→ 多くの銘柄に買いが入り、相場上昇が継続しやすい。
● TRIN > 1.0 → 売り優勢(市場が弱い)
下落銘柄に出来高が集中し、売り圧力が強い状態。
例:
TRIN = 1.40
→ 市場に売りが偏り、指数の下落が加速しやすい。
● TRIN が極端な数値を示した時のサイン
| TRIN | 状態 | 市場のサイン |
|---|---|---|
| 0.50 以下 | 買われすぎ | 過熱気味で短期調整の可能性 |
| 2.00 以上 | 売られすぎ | パニック状態で短期反発が起きやすい |
特に 2.0 以上 は、
「とにかく売りたい人が多いパニック状態」
を示し、短期リバウンドのシグナル として利用されます。
3. 初心者が ARMS指数を気にするべき理由
① 「指数の裏側」がわかるため
S&P500 が上昇していても、
実は上昇しているのはほんの数銘柄だけ…
というケースはよくあります。
TRIN を見れば:
- 本当に広い銘柄に買いが入っているのか
- 一部の大型株だけが市場を押し上げているのか
を判別できます。
② 市場の“エネルギー”を測れる
例えば TRIN が 1.5以上 なのに指数が下落していない場合、
「売り圧力の方が強いのに、まだ指数が耐えている」
という 不自然な強さ を読み取れます。
その後、大きく下落するケースも多いです。
③ 反発・反落ポイントを測りやすい
極端な数値(0.50以下、2.00以上)は
経験者がよく使う 逆張りシグナル です。
4. ARMS/TRIN を見る方法
NY市場の ARMS指数(TRIN)は TradingView で確認できます。
👉 https://jp.tradingview.com/symbols/USI-TRIN.NY/
5. ARMS指数の実践的な使い方
① デイトレ・短期投資
- TRIN < 1:買いで攻めやすい
- TRIN > 1:慎重になるべき
- TRIN > 2:過剰な恐怖 → 反発狙いも検討可
※ただし、単体でエントリー判断をしないこと
② 中期投資
指数が上がっていても TRIN が高い(>1.0)なら、
「相場の中身が弱い=買い時ではない可能性」
と判断しやすい。
③ 他の市場内部指標と組み合わせる
- 上昇/下落銘柄数(A/D Line)
- 上昇/下落出来高比率(A/D Volume Ratio)
- 新高値/新安値
- VIX(恐怖指数)
特に A/D 出来高比率 × ARMS指数 の組み合わせは強力です。
6. 注意点(初心者が必ず知るべき)
- 単独で売買判断しないこと
- 小型株の出来高に左右される日がある
- 急激な相場変動時は一時的なノイズが増える
- VIXやA/D系など他の指標と併用することで精度が上がる
まとめ:ARMS指数は “市場の圧力” を可視化するツール
- 1.0 が基準値
- 1より小さい → 買い優勢
- 1より大きい → 売り優勢
- 0.50以下 や 2.0以上 は反転ポイントの目安
- 指数の「本当の強弱」を見抜くのに役立つ
ARMS指数は、
「今の相場は本当に強いのか?弱いのか?」
その答えを教えてくれる、とても便利な市場内部指標です。

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